さまざまな色空間

同じ映像なのに、テレビで見るのとPCで見るので色が違うという経験をしたことはありませんか。 それは、色空間を意識せずに色データ(数値)を取り扱っていることが原因かもしれません。
すでにご存知かと思いますが、色はRGBの3色を組み合わせて表現しています。 ところが、RGBのどの数値が現実にどの色にあたるかというのは規格によって決められています。 そして、その規格には(sRGBやAdobeRGBなど)いろいろあり、それぞれ数値の基準が違います。 つまり、RGBの数値を同じにしても規格(色空間、カラープロファイルと呼ばれます)が違うと異なる色になるのです。

異なる規格による色の表現
上の図の黄色い部分が世の中に存在する色の範囲だと思ってください。 規格Aと規格Bで、それぞれ表現する色の範囲がマス目で決められています。 ここで、「左上のマス(赤で塗った所)」という同じデータがあっても、あてはまる色は全然違うことがわかります。 Aの赤いマスはBでは青いマスに相当します。
これと同じことがテレビとPCの間でも起こるので、色が違って見えるのです。
動画の世界ではアナログテレビやDVで使われているNTSC(ITU-R BT.601)という規格が一般的です。 この規格で決められている色空間はPCの規格(sRGB)よりもかなり広いので、テレビでの鮮やかな発色がPCではくすんで見えます。
ハイビジョン、HDVではITU-R BT.709という規格で色が決められています。 この規格は、実はPCの規格(sRGB)とほぼイコールなので、それほど違和感なく見ることができます。
また現在、映像を表示するモニターや色データを取り扱う機器の進歩により、もっと広く、もっと細かい規格(色空間)が検討されています。

次世代の色空間
上の図のBは、Aと同じ細かさ(諧調)を持ちながらより広い範囲をカバーしています。 その代わり、データ量(マス目の数)はAの4倍になっています。 また、はみ出ている部分は実際には使われない部分(色としては人間の目に見えない)になります。
テレビの宣伝文句に、「広色域・・・」とか「10ビット処理・・・」という表現があるのは、メーカーが独自により豊かな色空間に対応しているということです。 逆に、安いテレビや特性の合わないテレビを使うと、色が狂ったりつぶれたりします。 (といっても並みのテレビではNTSC全域を表示などできません。)
円にマス目ではなく、もっと正確な色空間についてご覧になりたい方はこちらをどうぞ。
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